リスティング広告の相談を受ける際によくあるのが「リスティング広告を出稿するためには、いくら必要なの?」という質問。特定のメディアの広告枠を買い取り掲載する純広告のイメージで、予算を考える方がいらっしゃいます。しかし、リスティング広告は純広告とは異なり、ユーザーの広告クリックに対し課金される仕組み。考え方はまったく異なります。
そこで今回は、どの程度の予算で広告を出稿すればいいのか。リスティング広告の予算の決め方について考えてみましょう。
現在の売上高から広告予算を計算する方法
まずは、最もシンプルな広告予算の考え方から解説します。それは、現在の月間売上高からリスティング広告の月間予算を算出する方法です。
広告では一般的に、総売上高の5%~10%のコストを広告費として使用するのが目安とされています。その考え方を広告費算出に利用する方法です。
仮に月間の売上高が500万円とします。そのうち5%~10%が最適な広告費と考えられるため、500万円✕5%~10%=25万円~50万円が最適な月間リスティング広告の予算ということになります。
売上目標から広告予算を計算する方法
次に、売上目標から広告予算を算出する方法を解説します。売上目標とは、リスティング広告を出稿することで売り上げたい目標売上高。こちらの算出方法では、クリック単価とコンバージョン率をもとに計算します。
リスティング広告は、広告がクリックされるたびに課金される仕組み。1クリックの単価は、キーワードの入札額をはじめ、さまざまな要因で決定されます。
コンバージョン率はサイトを訪問したユーザーのうち、商品購入やサービス申し込みなど、予め設定したコンバージョン(成約)に至ったのがどのくらいの割合かを示す指標。仮にクリック数が100回で、そのうちコンバージョン獲得が1件の場合、コンバージョン率は1%となります。
リスティング広告の出稿により、月間の売上目標を500万円と設定した場合を例に考えてみましょう。仮に販売する商品の単価が50,000円だとすると、売上目標を達成するためには100個の販売が必要です。
コンバージョン率が1%の場合で且つクリック単価が100円のケースでは、広告費として100万円が必要。そのため、月間のリスティング広告予算を100万円と設定します。
リスティング広告のスタート段階では、コンバージョン率がどの程度か実績がないため、ひとまずコンバージョン率を1%に設定して予算を算出するのが効果的です。
キーワード単価から広告予算を計算する方法
主要なキーワードのクリック単価から広告予算を決定する方法もあります。キーワードの単価については、相場をチェックできるツールがありますので活用しましょう。
仮に主要なキーワードのクリック単価が200円とします。コンバージョン率1%として計算すると、1件のコンバージョンに係るコストは20,000円。月間に獲得する目標件数が50件の場合、20,000円✕50件獲得=100万円の予算が必要となります。
損益分岐点から広告予算を計算する方法
利益を確保しながら堅実にリスティング広告の運用をする場合には、損益分岐点から広告予算を計算する方法が効果的です。
リスティング広告では、CPA(Cost Per Action/Cost Per Acquisition)と呼ばれる指標が重視されます。CPAは広告コスト÷コンバージョン数で求められるコストで、1件あたりの成果獲得(コンバージョン獲得)に係るコストを意味します。損益分岐点をベースに広告予算を計算する方法では、CPAが損益分岐点を超えないように設定します。
販売単価が10,000円の商品を例に考えてみましょう。10,000円の商品に対し販売コストが5,000円かかる場合、商品の販売時に5,000円の利益が得られます。そこで目標CPAを5,000円以下に設定します。例えば、目標CPAを4,000円に設定し、そのうえで販売目標が100個だとすると、4,000円✕100個=40万円が最適な広告予算となります。
LTV(ライフタイムバリュー)から広告予算を計算する方法
顧客とのお付き合いは、スポットの関係だけではありません。リピーターになってもらうことで、その後の継続した売上が見込めます。そこで、LTVの考え方をベースにした予算の算出方法も解説します。
LTVとは顧客が最終的にもたらしてくれる利益。前述同様、販売単価が10,000円・販売コストが5,000円の商品を例に考えてみましょう。
1件の販売につき5,000円の利益を得ることができ、平均的にひとりの顧客が年間に5回リピート購入するケースでは、ひとりの顧客から得られる年間の利益が25,000円。CPAを25,000円よりも抑えることで、広告出稿費による赤字を防ぎ、利益を確保した広告戦略が組めます。
年間の利益が25,000円見込めることから、仮にCPAを20,000円と設定。目標の販売件数を50件だと仮定すると、予算は100万円となります。
CPAを抑えKPIの達成にコミットするリスティング広告代理店アートワークス
リスティング広告の出稿予算は、これら5つのポイントをベースに考えることで、最適な予算設定ができます。売上高、クリック単価、損益分岐点など、いずれの指標をベースにして予算を確定するかは、それぞれの業種によっても異なってきます。複数の算出方法を検討しながら、予算を組むことをおすすめします。
また、販売する商品のタイプごとに最適な予算の考え方もあります。そちらについては、『予算っていくらが最適?リスティング広告の施策で欠かせない予算の考え方とは』の記事も参考になりますので、併せてご確認ください。
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